消費増税見送りによる株価の影響
2017年に予定されていた消費税率10%が、2019年に延期されました。
普段のお買い物をする上では嬉しいことですが。
投資家にとっては必ずしも良いことではありません。
特に世界的に見たら、日本の信頼が損なわれると懸念されています。
日本株の多くは外国人投資家が占めています。
消費増税の先送りが果たして正しい判断だったのか。
ここで今一度、考えてみましょう。
国債に影響
消費税増税の見送りによって日本政府に対する信頼が失われています。
なぜなら事前に宣言したことを実現できていないからです。
それだけ政府が国を運営する力が弱いと評価されているのです。
増税見送りによる第一の波紋は、長期国債のレーティング格下げです。
現在の日本国債はA+です。
最悪のシナリオは、このレーティングがA−の2ノッチに格下げされることです。
あくまでも予想に過ぎないのですが。
しかし、もし格下げが実現すれば短期国債にまで影響します。
これが第二の波紋です。
長期国債の格下げは、短期国債にも影響します。
すると企業に対する資金提供が難しくなります。
株式に影響
国債の格下げによって、政府系金融機関や民間金融機関の経営状態が特に悪くなります。
これが国債と関係のない民間企業にまで影響してくるのです。
上記の説明から国債の格下げは、民間企業の資金繰りに影響します。
つまり消費増税の見送りが、企業経営の悪化につながるのです。
この企業経営の悪化は、株主である私たちは最も注意しなければならない事柄です。
ソブリンシーリング
国債の格下げは、社債の格下げとも関連します。
それを説明するのに、「ソブリンシーリング」という考え方があります。
ソブリンシーリングでは「社債は国債の格付けを超えられない」と定義します。
実際には国債の格付けを上回っている社債もあります。
しかし数えるほどの会社しかありません。
したがって国債が格下げされれば、そのぶん社債も格下げされてしまいます。
会社の経営成績に関わらず格下げされてしまうのですから。
株主はもちろん、経営者にとっても頭が痛いものです。
社債が株価に影響する
会社の貸借対照表では、社債は資産、株式は負債として明記されます。
そのため企業にとっては、社債は安全資産、株式はリスク資産とされます。
したがって社債の格下げは、短期的には株価の上昇につながります。
しかし高度経済成長期以降、日本の金融商品は安全資産として評価されてきました。
社債から株式に乗り換える人も現れるとは思いますが。
それ以上に日本では、株式を売り払う人の方が多くなるでしょう。
したがって長期的に見たら、政府の信用が落ちることは株価に悪影響を及ぼします。
まとめ
アベノミクスを打ちだして、だいぶん日が経ちましたが。
なかなか思うような成果をだしていません。
一般的に「予測」とは、前向きで楽観視した評価をされるものではありますが。
それにしても、その失速ぶりは日々、顕著となっています。
日経平均株価も年初めは25000円まででいくとの強気発言でした。
ここでアベノミクスの巻き返しが起こるのか否か。
それが今後の株価にも大きく影響してきます。